イベント開催日時:2021年3月10日 19:30~21:00
文責:あるえ
1.イベント概要
2018年にお茶の水女子大学は、2020年度から入学選考に必要な書類上における性別要件を撤廃することを発表しました。しかし、それに関してSNS上で「フェミニズム」的な論理を用いた、多くのトランス女性への差別的な投稿がなされました。このような現状においてOchaDiversityは、この問題の渦中にあるお茶の水女子大学で、学生側から積極的にトランス女性の権利について考え発信していく必要があると考え、本イベントを開催しました
2.イベント詳細
イベントは次の3つの内容に関して、それぞれ発表とディスカッションをする形式で行いました。各パートの概要と参加者の声を一部紹介します。
①性別とは何か、女性とは何か
<スライド概要>
はじめに、人間は「生物学的」に男女のいずれかに分類されると考えられてきましたが、実際にはそうとは言い切れないことや、トランスジェンダーとシスジェンダーという用語の基本的な定義を確認しました。その上で、性別を証明することが求められたり、男女別に分けられたトイレの使用が難しく、排泄といった日常的な行為さえ大変な労力を要するといった、トランスジェンダーの方の生きづらさについて話しました。そして、トランス女性は自傷経験・自殺率が高いという研究データに言及しました。
<参加者の声>
・トランス女性とシス女性の間に線引きされている現状があると感じました。
・自分の経験ではシス女性とトランス女性は違う⇨トランス女性は女性ではないという扱 いを受けている印象があった。
②トランス女性「神話」の特徴とは何か
<スライド概要>
実際には事実ではないのに事実かのように語られているトランス女性「神話」(例えば、トランス女性と性加害者を結びつけるような言説)について、恐怖を煽る手法などの特徴を確認しました。
<参加者の声>
・SNS上でのトランス女性についての差別的投稿では、トランス女性の現状を知らない人 がイメージで語っているような場合が多いと感じています。
・女性のトイレが減るという意見を見かけたがそれはないと思う(女性用と男女用のト イレを見かけることから)
・お茶大が学生向けに説明会を行った際には、トランス女性が女性ではないという認識に 基づいた次のような質疑が行われていました。
・寮ではトランスの受け入れを想定していない
・シス女性の環境への配慮は?
・男性がいないところに行きたかったから女子大を選んだ人も
・部活で有利不利が生まれるのでは
(イベント参加者の方から、お茶大が2019年5月21日に開催した学生説明会「トランスジェンダー学生の受入れについて」の当時の質疑応答の様子について教えていただきました。)
③なぜ女性を線引きするのか
<スライド概要>
「女性を守る」「女性の安全のため」と、「フェミニズム」的な論理を用いてトランス差別発言が展開されることも少なくありません。その背景について、フェミニズムが「男と女は生物学的に違う生き物である」という本質主義に反対しながらも、運動の展開によっては時に本質主義的な性別二元論に依存してきたことに言及しました。
<参加者の声>
・小さいころから周りの人の影響を受けてきたから性別二元論を当たり前のものとして受け入れてきたことに気付きました。
・スウェーデンのトイレは男女で分けられていない
・性別の選択肢が二択だと思われているのは疑問です。
・私も含めて男性女性用どっちも嫌という方もいらっしゃる。
・そもそもトイレを性別で分けることへの合理性はあるのかを問うべき。
*私たちがお茶大のキャンパス内でできることは何か
<参加者の声>
・こういうイベントへの参加を義務化する。
・会社に入るときに「男性用・女性用の更衣室・トイレ」を使いたくないと話し、多目的 トイレや更衣室を整備してもらったので、お茶大でもそれが実現できるのでは。
・理解はできなくても否定しない、攻撃しない、配慮する
3.イベント全体に関する参加者からの声
・自分1人では気づかなかった視点に気付くことができた。
・日本に残るジェンダー問題について、深く知ることができた。
・女性とは何かなど、考えさせる質問が多かったです。
・レクチャーやディスカッションの時間があり、それぞれ負担に感じない時間でちょうど よかった。いろいろな考えや差別(またそもそもの区別)の背景などを聞けたり、考えられていてよかった。
・なかなかこういったジェンダーに関する話題を話せる人が身近にいない。
・普段からジェンダーに関する話題にアンテナを張っている人がたくさんいることに驚き ました。内容は、普段から考えていないと難しいものが多かったですが、自由に話せる ようにしていただいたので、事前知識が乏しくても参加できました。もう少し勉強して、もっと議論に参加できるようになれたらいいなと思いました。
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